第2回目は大分県で毎年開催されている「大分国際車いすマラソン」をテーマに開催しました。この大会は今年で37回目の開催ということもあり、大分県内の当会員は全員知っている大会です。毎年当協会も参加し、実際にマラソンコースに立ち、誘導や審判員の補助などを行っていますが、大会全体のことや、歴史についてなどは共通認識できていないところがありましたので、大会の1ケ月前にこの研修会を実施しました。
① 元大会事務局の石川 伊知郎 氏に「大会の歴史」「事務局の運営方法」をテーマにお話ししていただきました。日本障がい者スポーツの父「中村 裕 先生」のお話や、当時の大分県知事の秘話など、大会の歴史や大会の存在意義を講義いただきボリュームある内容となりました。
② 指導員としては選手のことを理解しておかなければいけないので、「クラス分け」についてクラス分け員、池部 純政 氏(当協会会長)が講義を行いました。大会は全員車いす(レーサー)で出場しますが、どの障害がどのカテゴリーで出場しているのか、その障害を判断するにはどのように行われているのか等、症例の話をふまえ選手の障害区分を細かく説明していただきました。
③ 大会がどのようなルールで行われているのか、大会審判長の後藤 昌一 氏に説明していただきました。WPA(世界パラ陸上)公認大会のルールを陸上専門の方から直接聞く機会は貴重で、選手に厳しいルールの印象を持っていましたが、実際は選手が平等に選手を助けるための部分があることが印象に残る講義でした。
④ 選手として出場している北京パラ銀メダリスト・大分国際車いすマラソン日本人初優勝者 笹原 廣喜 氏(オムロン太陽㈱所属)に「レーサーの特徴」「選手から見る大会」をテーマにお話しをしていただきました。世界のトップアスリートとして活躍した笹原氏のお話は、私たち指導者の最上級ポジションの話でした。地元大分県で走れる喜びを聞け、大会の存在価値をあたらめて感じる内容となりました。
⑤ 当協会会員が実際に大会で行う実務をディスカッション形式で、コースのスタート地点からゴール地点までを講師全員で解説していきました。「審判としてこの場所は気を付けてほしい」「選手としてはここの場所は気を遣う」など多角的な意見が出て、実践する指導者には大変参考となる情報を得ることができました。
残念なことに今年の大会は、台風の影響で大会初の中止の判断がされましたが、このステップアップ研修会は会員にとって大会の全体を知る充実した内容になったことと思います。
今後も当協会では会員の皆さんが「参加してみたいな」と思うような実践的なステップアップ研修会を行います。特に初級指導員が競技に触れる機会を提供し、障がい者スポーツの楽しさ・魅力を伝えられる指導者を育てていきたいと思います。